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アメリカの沖縄ジュゴン訴訟関係者との意見交換会(うりずんの会主催)が
12月4日、衆議院第1議員会館第1会議室でありました。
出席者は衆議院議員・赤嶺政賢さん、玉城デニーさん、参議院議員・糸数慶子さん、伊波洋一さん
ジュゴン訴訟原告団からピーター・ガルビンら7人(生物多様性センター、先住民・Wishtoyo族)と
日本側からジュゴン訴訟原告団・真喜志好一、ジュゴン保護キャンペーンセンター
政府側は、防衛省、環境省、文化庁、外務省 でした。
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生物多様性センター(CBD)代表のピーター・ガルビンさんから
今回の来日の目的の一つに「日本のアセス法の実施状況を把握するためである」と冒頭に説明がありました。
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通訳は吉川秀樹さん(SDCC)です。
追及の重点は、ジュゴン個体Cの行方不明問題です。
人間活動がジュゴンに影響を与えていることは国際的に自明なことで、
工事の影響であることは間違いない。
そのことを検討すべき環境影響評価の科学者の氏名を公表しないのは科学的調査の国際規範からしておかしい!
と厳しく追及しました。
防衛省は、個体A,Bがいるから工事の影響ではない。Cの行方不明の原因は検討する。
専門家の氏名の未公表は、セキュリティの問題で専門家との約束だ。
とタジタジ。
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原告団から「セキュリティの為に氏名が未公表なら、国会議員などで構成される委員会で氏名を公表すべき」と提案しましたが、
「了解できない」と提案を拒否し、秘密主義に徹しました。
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また、「米国での裁判に日本のアセス法が耐えられるとは思わない」
「米国では国防総省の事業を他の省がチェックする。日本の仕組みはどのようになっているのか」との追及に
文化庁からは「モニタリングを求めている」、
環境からは「大臣意見が出せるように制度改正をしている」など弁解しました。
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しかし、「ジュゴンがネットでハビタットから追い出されている」とのさらなる追及に、
環境省は「特定に事業には意見は出さない。個別案件には答えない」と防衛省に丸投げしている実態が明らかになりました。
さらに、原告団から5月地裁の判決を見越して、
「日本の環境アセスをベースに米国で裁判を進めている。
日本のアセスでもジュゴンに影響が出るとなれば工事をストップするか」との追及に、
防衛省は「仮定の話には答えられない」と逃げました。
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また、「大きな規模での海草藻場の移植の成功例はあるのか」との追及に
環境省は「ない」と断言しました。
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先住民のマーティさんから
「政府からまともな答えがない、沖縄の声が届いていないのが悲しい。
日本政府が米国・米軍に国家歴史保存法を侵すように求めている」と心から訴えても、
防衛省は「日米両政府の法律にもとづいて工事をしている」と自らの責任を認めませんでした。
最後に、ピーターさんから
「日本政府は米国裁判で敗訴したら、工事を中止するか。
どのような状況下で工事を断念するか」と問いかけると、
防衛省は「その質問には答えられない」と「ないないずくし」でした。
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時間がオーバーする中で、
ジュゴン訴訟原告団のメンバーである真喜志さんから
「要請文への回答を文書で出すように」
「奥港からの海上輸送はアセス書のどこに書いているのか」の2点を要請。
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防衛省は「質問書への回答文は文書を議員に出すが、論議部分については決裁を受けていないので出せない」
「海上輸送について掲載しているアセス評価書のページを議員に返事する」としました。
(以上、文責はジュゴンの保護者)
全体としては、従来の政府答弁を出ません。
しかし、米国原告団が日本政府のかたくなな姿勢を直接感じたことに意義があったと思います。
そのことが5月地裁議論で国防総省を追求する上で、有効になると思いました。
ピーターさんが「米国の裁判で日本のアセスが通用するとは思わない」との発言が、
今回の来日で見たこと、感じたことなどの成果を表していると思いました。
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政府交渉が終わった後、先住民のマーティさんと海勢頭豊さんが
お互いの音楽と文化について交流したいと語り合っていました。
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記念写真です。
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ジュゴン訴訟原告団は11月27日から来日。
沖縄県、名護市と交流。辺野古テント村やゲート前座り込みの人々を激励。
辺野古大浦湾や高江の視察など精力的に視察をしました。
これらは5月24日米国連邦裁判所(差し戻し審)に向けた調査活動の一環でした。
12月4日政府交渉の後、外国人記者クラブで記者会見をし、帰国しました。
(参考)毎日新聞・琉球新報11月30日
琉球新報11月30日
沖縄タイムス11月30日
琉球新報12月1日
琉球朝日放送12月4日
沖縄タイムス12月6日
長文を最後まで読んでいただいて、有難うございました。
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ジュゴンの保護者より。