毎年の4月下旬と11月下旬に政府交渉をしています。
11月には沖縄のジュゴン保護を求める署名の提出をします。
今回は2018年世界自然遺産の登録について諸課題があるので、
新たに署名「沖縄ジュゴン、ヤンバルクイナ、ノグチゲラを守ろう」を
ジュゴン保護キャンペーンセンター、ジュゴン保護基金と
沖縄環境ネットワーク、海の生き物を守る会を中心に取り組みました。
辺野古テント村からも1千筆を越える署名を送っていただきました。
今回は1万1千739筆を環境省に提出しました。
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防衛省では、米国連邦裁判所でのジュゴン訴訟を意識して取り組みました。
1.ジュゴンCの行方不明(15年7月以降)について
環境監視等委員会で議論されていますが、「工事の影響ではない」(第8回)「
個体Cが死んでいるのかどうかというところは、まだ、現時点では、わかっていない。
ただ、成人して親離れして、離れていってしまったのではないか」(第9回)と、
工事が影響ではないが、原因は不明としています。
この点を追及しました。
防衛省は原因が不明と言いながら、なぜ工事が原因ではないと断言できるのか。
委員は委員会で感想をしゃべっているが、何ら科学的な議論をしていない」と指摘しました。
個体A(嘉陽海域に生息)が環境評価書では大浦湾に回遊していたにもかかわらず、
近年は大浦湾に近づいていない。理由をどのように受けとめているのか。
などと追及すると、
サラリーマン役人は「評価書を調べます」と頭をかいて逃げていました。
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環境影響評価書の保護措置では
「生息範囲に変化が見られたときは工事との関係を検討し…」としています。
2年以上経ても科学的な委員会議論をしていない環境監視等委員会は
その存在意義が問われています。
2.埋め立て石材を本部港、奥港から搬出することは
個体A、Bに大きな影響を与えるのではないかと追及しました。
「海上輸送は埋め立て願書に明記している」と居直りました。
しかし、奥港からの海上輸送は明記されていません。
また、海上輸送をするときは搬送船に監視員をつけなければなりません。
その点を追及すると「実態をつかんでいない」とまた恥をかいていました。
地方協力課の担当係長が引き取って、「早急に返事をする」と約束しました。
3.世界自然遺産登録では、外来種対策を重視しています。
IUCNからの手紙(2017.5)でも辺野古埋め立て土砂の外来種対策を重視しています。
12月4日からの登録審査が始まる中で、いつ委員会で議論をするのかを追及しました。
防衛省は「県外からの埋め立て土砂の搬入時期が決まっていないので委員会では議論していない。
何時するかも未定である」「世界自然遺産は環境省のマターだ」と省益丸出しの回答でした。
日本政府が進める世界自然遺産登録の妨害者として、防衛省があると指摘しました。
4.ジュゴン訴訟については
「他国の裁判についてはコメントしない」と
予想通りの回答でした。
海勢頭代表は最後の講評で、答えを差し控える人にはコメントできない。
そのような姿勢が国際関係では恥になることを知っておいてくださいと突き放しました。
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環境省には冒頭、署名11739筆を提出しました。
1.IUCN現地調査で、北部訓練場についてどのように説明したのですかを確認しました。
環境省はIUCN調査員に「返還地を国立公園に編入し、世界自然遺産登録に追加する」
「米軍と協力してマングース対策で、ヤンバルクイナなどが回復にある」と説明した。
「しかし、現地調査の時期にヘリの墜落事故が起こり大変困った」と率直な気持ちを吐露していました。
2.世界自然遺産登録での米軍の役割については
「隣接地の管理者です。情報の共有は進めている。米軍との情報共有を進めている」と
利害関係者(ステイクホルダ)であることを認めたくないような態度に終始しました。
このような環境省の態度について
「米軍はステークホルダだとの意識で、オスプレイ配備について意見すべきだ」と厳しく指摘しました。
3.米は北部訓練場内の詳細な希少種の分布調査結果などを持っています(自然資源管理計画)。
しかし、日本政府に渡されている資料は墨塗りですが、
私たちNGOは米国の情報公開法で正本が入手できています。
日米間で信頼関係はあるのかと追及しました。
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環境省からは驚いて一言も言葉が出ませんでした。
また、正本を持っているIUCNから北部訓練場内の希少種問題について照会が来たら、
環境省はどう対応するのですかね…
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4.IUCNは日本政府に昨年のハワイ会議での外来種対策決議の履行を求めるなど
辺野古埋め立て土砂の外来種対策にも重大な関心を示しています。
防衛省が外来種対策について議論していない中で、どのように対応するのですか。
「現地調査の二人に外来種対策についての基本的考え方を説明した。
事実確認は事業者が適切にやるものと認識している」と腰が引けた回答をしました。
12月4日の週から始まる登録審査で外来種対策については
「照会が来たときに検討する」と
役人特有の問題の繰り延べに終始しました。
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外務省では、ジュゴン訴訟や世界自然遺産登録などについて考え方を求めました。
1.米軍はやんばるの森・世界自然遺産のステークホルダですねとの質問には
主務官庁の環境省と同じ発言に終始しました。
2.オスプレイの住環境や自然環境への影響をめぐって
「他の機種と変わらない。防衛省のHPに影響についてはアップされている」と
模範的な役人答弁を繰り返しました。
普段はおとなしい女性スタッフからは
「あきれてものも言えない。住民目線でものを語るべきだ」
と痛烈な批判が出されました。
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発言した日米地位協定室の役人は弁解に終始していました。
3.米国の北部訓練場内の生物多様性の資料の墨塗りについては
「情報がまったくないし、資料もない。環境省に確認する」と驚いていました。
4.日米地位協定改定については
「運用の改善で」と改定は困難とする現場の担当に、
住民市民の立場に立って政治を突き上げるべきではないですかと要請しました。
海勢頭代表は「米軍人も不安がっている。日常的に家の上を飛び、不安で仕事にもならない。
保守系も疑問を持っているこの頃だ」と勇気を出すように激励しました。
ジュゴンの保護者より