2007年活動報告  

12月8日:ジュゴンバックヤードツアー
その3

場所:三重・鳥羽水族館


次に海獣類の分類を教えていただきました。
海獣類には鯨目(80種)・海牛目(4種)・鰭脚類(36種)・食肉目(8種)があります。海生哺乳類は陸上生活をしていたものが、2次的に海で生活するようになったものです。
鯨類は約6500万年前に、エサを求めて、ジュゴン、マナティの海牛類は、5000万年〜5500万年前に敵から逃れるために、海に入ったそうです。

鰭脚類は3000万〜3500万年前、食肉目のラッコは500万年前だそうです。
古い時代に海に入ったものほど、水中生活に適応した体形をしています。
鯨類と海牛類は一見したところよく似ていますが、ジュゴンでは骨盤が背骨にくっついていますが、鯨類では骨盤は背骨から離れ痕跡的に筋肉の中に埋まっています。
よくジュゴンとマナティを間違える方がいらっしゃるのですがこんなに違います。
先ず、尾びれの形。
ジュゴンは三角、マナティはうちわ型。
腕はジュゴンはひじから先が、体の外に出ていて、マナティはヒトと同じように肩から出ています。
体の形はジュゴンが丸くて、マナティは扁平。
ジュゴンは深い海で早く泳げる体形。マナティが棲むアマゾンなどは雨季と乾季があって、乾季には川の水が少なくなるので、浅いところでも泳げるような体形になっているそうです。
ジュゴンは数分に一度は、呼吸のために海面に上がってきますが、マナティはなが〜い時間呼吸しなくても大丈夫だそうです。
マナティは心拍数を変えたり、代謝を抑えたりできるそうです。
(マナティが水槽の底に沈んだまま、ずーっと動かないので、写真が撮りづらいなあと思っていたのでした)
世界中では、約10万頭のジュゴンがいるのですが、そのうち8万頭はオーストラリアに、1万頭はアラビア海近海にいます。
その他の地域では、ジュゴンは絶滅の危機に瀕しているところが多く、アフリカの東海岸でも、急激な個体数の減少が起こっているそうです。
(写真はオーストラリアのジュゴン)
東南アジアのジュゴンも危機に瀕しています。
個体数の減少要因は、藻場の減少や、混獲、ダイナマイト猟など様々です。
ジュンイチもエリという魚を捕るための囲いの中に、入ってしまったところを保護されました(フィリピン北部)。
(写真がエリ漁)
フィリピンのパラワン島付近で親からはぐれてしまったセレナはまだ赤ちゃんでした。
なかなかミルクを飲まないセレナになんとか、ミルクを飲ませるために浅野さんたちは大奮闘。
特製の哺乳瓶(というか哺乳装置)を考案して、やっとセレナはミルクを飲みました。
こうして、大切に育てられたセレナが1987年の4月に日本にやってきたのです。
セレナもジュンイチもとても小さい頃から人間に育てられているからか、人間が大好き!
それはとってもうれしいのですが、なかなか2世が誕生しません。
セレナの赤ちゃんが見たいなあ・・・。
沖縄のジュゴン保護について
ジュゴンは哺乳類。魚網にからまると窒息してしまいます。

個体数の少なくなったジュゴンを1頭でも、死なしてはいけないと沖縄では「ジュゴンレスキュー」の取り組みが行われています。

本物のジュゴンと同じ大きさ、重さのレプリカで、網にからまったジュゴンをすばやく助ける訓練です。
浅野さんたちが今までフィリピンで行ってきた取り組みの成果が取り入れられて、すばやくジュゴンを助けることが出来たそうです。

ただ、本物のジュゴンはレプリカと違ってあばれます。

実際、フィリピンでジュゴンレスキューをしているときに、浅野さんの体に網がまきついて、海に引きずりこまれそうになったこともあるそうです。
全部紹介できませんでしたが、他にも興味深いお話がいっぱい。
浅野さん、すばらしいお話をありがとうございました。

SDCCからは、ジュゴンが棲む海の写真の紹介や、基地建設の環境アセスについて、「2010年を国際ジュゴン年に」キャンペーンについてなどお話しました。